上肢骨折

上肢の骨折である上腕骨外科頸骨折や上腕骨骨幹部骨折、下肢の骨折である下腿や足関節部、足の趾の骨折では手術または徒手で整復後、太い金属プレートで骨を内固定したりギプスや添え木で体表から外固定をします。

太い金属プレートで骨折部を内固定した場合、多くはギプスなどの外固定は不要ですが、しっかりと金属で内固定出来ない場合は外固定もします。 退院後は固定された骨折部の上肢を布に包んで首から下げて自宅で自由に歩き、骨折部の下肢は部分的に体重をかけて自由に歩くように指示されます。

下肢骨折

下肢の骨折でも大腿骨近位部骨折では折れた大腿骨頭を人工骨頭に置き替えたり、骨折部を固定する太くて強い金属に体重をかけて、骨癒合が始まる前から歩けるような手術がされます(図)。

(図 (左)人工骨頭置換術後、(右)ガンマー・ネイル固定術後)

この手術をすると手術の翌日から腰を掛ける・立ち上がる訓練が始まり、トイレにも行けるようになりますが、人工骨頭や固定する太くて強い金属を支える患者さんの骨が余りにも弱い場合は手術後から当分は松葉杖や歩行器を使って骨折した下肢を浮かして歩き始めます。

その後、徐々に体重を多くかけて歩けるようになりますが、この過程でふらついて許可された以上の体重をかけて踏み込まないように気を付けます。

整復・固定期間中に動かずに長期間ベッドで臥床していたり、室内に閉じこもっていますと、骨折よりもダメージが大きい廃用症候群という"動かさない病・動かない病"に罹ります。動かさないため生じる筋肉の衰えや関節の固まり、心臓や肺の衰えから考える力の衰えまでの体の様々な変化、廃用症候群こそ寝たきり高齢者、座りきり高齢者の原因となりますので避けなければなりません。

骨折サポートグッズを使用して快適な毎日を

二の腕の端、前腕の先端、など上肢の骨折では治療期間中に白い布で腕を吊り下げることが多いですが、痛々しい姿で外出したくないと室内に留まっているのは好ましくありません。

骨折した上肢をおしゃれな、ワンタッチで装着できる専用布で覆い首から下げ、社会で活動する事をお勧めします。

下腿や足関節部、足の趾の骨折などでは十分に骨癒合していない時期の歩行は不安定になる上、太いギプスが巻かれた足に合う靴がないために合わないサンダルやスリッパに足先を入れて歩く人を見かけます。

骨折した下肢を綺麗な布で覆い歩き易い専用の靴を履いて安定歩行することが望まれます。

このことが、早く転倒後症候群から脱却し、骨折前の気持ちに戻って快適な毎日を過ごすのに役立ちます。

2019.06.24公開 著者:原宿リハビリテーション病院 名誉院長 林 泰史先生 編集:骨折ネット運営事務局(株式会社プロウェーブ)